ベリーベスト法律事務所

労働災害(労災)とは

労働災害(労災)補償

労働災害とは

労働災害(労災)とは、労働者(従業員、社員、アルバイトなど)が労務に従事したことによって被った負傷、疾病、死亡などです。

労働災害というと、工場で作業中に機械に巻き込まれて怪我をしたり、建設現場での高所作業中に転落して死亡したりするようなケースをイメージすることが多いかもしれません。

しかし、いわゆる「過労死」など職場における過重負荷による脳・心臓疾患の場合や、いわゆる「過労自殺」やセクハラ・パワハラなど心理的負荷による精神障害の場合が、労働災害と判断される場合もあります。

労働災害(労災)に関するよくある質問

こんな場合は労災保険が給付される?

労災保険が給付される可能性が高いケース

  • 製本作業中に工場内の
    製本機に指を挟まれ切断した

  • 日雇いの清掃員が休憩中に
    自動車事故に遭った

  • 出張先のホテルで
    火災に遭い焼死した

  • 会社から自転車で
    帰宅途中に転倒し怪我をした

  • 工場内の製本機を用いて製本作業中、製本機に指を挟まれ切断した場合。
  • 道路清掃工事の日雇労働者が、休憩場所がないため道路の傍らで休憩していたところ自動車事故に遭った場合。
  • 出張で宿泊していたホテルで就寝中、火災により焼死した場合。
  • 会社から自転車で帰宅途中、通勤経路上にある行きつけの理容室で1時間程度散髪をして再び帰宅していた途上、凍っていた路面で滑り転倒して負傷した場合。

労災保険が給付されない可能性が高いケース

  • 従業員慰安旅行中
    はしけが沈没して溺死した

  • 集金人が業務と関係なく
    ケンカになり負傷した

  • 社宅のガラスが破損して
    負傷した

  • 遅番だったが会社の運動部の
    朝練に行く途中事故に遭った

  • 事業場主催の毎年恒例の従業員慰安旅行中、船からはしけに乗り換える際、定員を超えていたためはしけが沈没して溺死した場合。
  • 電気料金集金人が集金先で集金業務と関係なく第三者とケンカになり殴られて負傷した場合。
  • 自己の居住する社宅において台風によるガラス戸の破壊を防ごうとしたところガラス戸が破損して負傷した場合。
  • 会社の運動部の練習に参加するため、午後の遅番の出勤者であるにもかかわらず朝から住居を出て会社に行く途中、事故に遭って負傷した場合。

これらのケースと類似のケースでも、個別の事情によっては、労働災害にあたるかどうかの判断が変わる可能性がありますので、個別ケースの判断については、法律相談にて検討いたします。

労災保険が給付されるかどうかのポイントは?

労災保険が給付されるかどうかのポイントは?

会社に雇用されている方が「業務災害」や「通勤災害」と認められた場合には、労災保険が支給されます。

業務災害とは

業務上の負傷、疾病、障害または死亡をいいます。「業務上」といえるかについては、会社の支配ないし管理下にあるなかで(業務遂行性)、労働者が労働契約に基づき事業主の支配下にあることに伴う危険が現実化したものと経験則上認められること(業務起因性)がポイントとなります。

通勤災害とは

通勤による負傷、疾病、障害または死亡をいいます。通勤災害と認められるためには、「通勤」中といえるかがポイントとなります。通勤途中にどこかに立ち寄った場合や生活の本拠が他にもある場合なども通勤災害と認められるかどうかについては、個別具体的な事情によります。

労災に当たるケガ・病気について知りたい方

労働災害(労災)と認められると?

労災と認められれば、以下のような補償を受けることができます。

療養補償給付 診察、薬剤・治療材料の支給、処置・手術その他の治療、居宅における看護、病院などへの入院・看護などの療養の給付が受けられます。
休業補償給付 療養中の休業4日目から給付基礎日額の80%が支給されます。
障害補償給付 後遺障害が残った場合、一定額の年金または一時金が支給されます。
遺族補償給付 労災により労働者が死亡した場合、遺族には原則として遺族補償年金が支給されます。

他にも、葬祭料、傷病補償年金、介護補償給付などが支払われます。

労災保険給付申請手続き

労働災害(労災)が発生した場合の被害者の手続き

労働災害(労災)が発生した場合の被害者の手続き

労働災害に関して被災労働者が行うことが考えられる手続きは、次の通りです。

労災保険の給付申請 労災保険の給付申請に関して詳しくは、労災保険給付申請手続きをご参照ください。
病院で治療を受ける場合の手続きについては、「労災保険を使う場合、病院でどのような手続きが必要ですか?」をご覧ください。
民事手続 労災保険による給付では不十分な場合(特に、労災保険では慰謝料などについては補償されません)、会社に対し民事訴訟を提起するなどして請求することが考えられます。
詳しくは、「会社への損害賠償を考えている方」をご参照ください。
刑事手続 加害者が刑事責任を問われる可能性があります。被害者としては、告訴を行うことや、加害者の刑事手続のなかで被害者参加することが可能な場合もあります。

労働災害(労災)が発生した場合、会社・役員・社員が負う責任

労働災害(労災)が発生した場合、会社・役員・社員が負う責任

労働災害に関して会社・役員・社員が負う可能性がある責任は、一般的には、刑法(業務上過失致死傷)・労働関係法違反(労働安全衛生法、労働基準法)などによる刑事上の責任(刑罰の対象となりうる)があります。

また、被災した労働者や遺族に対する安全配慮義務違反による民事上の損害賠償責任(民法415条、709条、715条ほか)、行政上の責任(使用停止・作業停止ほか)、社会的責任(社会的信用の失墜ほか)などがあり得ます。

安全配慮義務は、法律に定める基準が守られていた場合や雇用主と労働契約を締結していない場合でも、義務違反が問題となる場合があります。詳しくは、会社の責任についてのFAQをご参照ください。

また、会社が労働災害の手続きを行ってくれないというケースは少なくないようです。しかし、会社が手続きをしてくれなくても、被災者労働者個人やそのご家族が労働基準監督署で手続きを行えます。

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