うつ病などの精神疾患も労災認定されますか?
この質問に対する回答
うつ病などの精神障害が労災として認定されるのは、その精神障害の発病が仕事による強いストレスによるものと判断できる場合に限られます。
仕事によるストレスが強かったとしても、同時期に私生活において強いストレスに晒されていたり、元々精神障害を患っていたり、アルコール依存などの他の要因が関係している場合には、どれが発病の原因なのかについて、医学的に慎重な判断がなされます。
ですので、一般的にいって、うつ病などの精神障害が労災と認定されるのには高いハードルがあるといえます。
うつ病や精神疾患の労災認定のための要件
- 認定基準の対象となる精神障害を発病していること
- 認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6ヶ月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
- 業務以外の心理的負荷や個体側要因(アルコール依存等)により発病したとは認められないこと
大事なのは、心理的負荷の強度が、「精神障害を発病した労働者がその出来事とその後の状況を主観的にどう受け止めたか」ではなく、「同種の労働者が一般的にどう受け止めるか」という観点から評価されることです。
つまり、「一般的にみて、精神障害を発病しても全然おかしくない状況であったかどうか」が問題なのであって、一般的にみれば特に辛い業務状況でもなかった場合には、労災とは認定されないということになります。
詳しい認定基準については、厚生労働省が基準を発表していますので、これを参照するとよいでしょう。(厚生労働省資料(PDF / 4.1MB))
具体的な出来事の証拠があることが重要
上記のように、労災における精神障害の認定においては、「労災であると主張する者がどう受け止めたか」ではなく、「同種の労働者が一般的にどう受け止めるのか」という観点から判断されます。
したがって、厚生労働省が発表している基準は、「労災であると主張する者が何と主張しているか」よりも、「精神障害を発病させうるような具体的出来事としては、どんなことがあったか」が認定の際の判断材料としています。そこで、弁護士に相談する際には、できるかぎり具体的な出来事を挙げて相談することが大事です。
そして、具体的な出来事について、裏付けとなる証拠があることが重要ですので、相談の前に証拠がないかどうかを確認しておきましょう。