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労働災害(労災)コラム

傷病手当とはどんなもの? 労災との関係は? 弁護士が解説

2021年09月27日
  • 傷病手当
傷病手当とはどんなもの? 労災との関係は? 弁護士が解説

病気や怪我で会社を休んだ場合、健康保険から「傷病手当金」が支給されます。もっとも、仕事中に怪我や病気が生じた場合、労働災害として、労災保険から補償を受けることができます。

仕事中の怪我や病気の場合には、健康保険の傷病手当金と労災保険のどちらを利用すればよいのでしょうか。また、傷病手当金と労災保険とではどのような違いがあるのでしょうか。

本コラムでは、傷病手当金とは何か、労災保険と傷病手当金との関係などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、傷病手当金とは

健康保険から支給される傷病手当金とはどのような補償なのでしょうか。以下、傷病手当金に関する基本的な知識について解説します。

  1. (1)傷病手当金とは

    そもそも健康保険とは、労働者及びその被扶養者の業務災害以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とするという制度です(健康保険法1条)。

    傷病手当金は、健康保険の保険給付の一つで、被保険者が病気や怪我のため働くことができず、連続して3日以上仕事を休んだとき、4日目から支給されます(健康保険法99条1項)。

    支給額は、1日につき標準報酬日額(標準報酬月額の30分の1)の3分の2の額です(健康保険法99条2項)。
    標準報酬月額は、被保険者の報酬月額に基づき、等級区分によって定められています。労働者の月収がそのまま標準報酬月額になるわけではありませんので、注意が必要です。
    正確な支給額が知りたい方は、加入している全国健康保険協会(通称「協会けんぽ」といいます。)や健康保険組合にお問い合わせください。

    傷病手当金の支給期間は、支給を開始した日から最長で1年6か月の期間です。この間に傷病手当金を受け取らなかった期間があっても、支給開始時から1年6か月を過ぎれば、同じ病気や怪我では傷病手当金を受けられません(健康保険法99条4項)。

  2. (2)傷病手当金が出る条件

    傷病手当金が支給されるためには、以下の①から④のすべての条件を満たすことが必要になります。

    ① 業務外の事由による病気や怪我の療養のための休業である
    傷病手当金の支給対象となる病気や怪我は、業務外の事由によるものであることが必要になります。そのため、労災保険の適用対象である業務災害や通勤災害による病気や怪我については、傷病手当金の支給対象外となります。

    ② 仕事に就くことができない
    病気や怪我をしたとしても仕事に就ける状態であれば、傷病手当金は支給されません。仕事に就くことができるかどうかの判断は、医師の意見や仕事の内容を考慮して判断されることになります。

    ③ 連続する3日間を含んで4日以上、仕事に就けなかった
    傷病手当金は、会社を休んだ日が連続して3日間あり(休日・公休・有休を含みます。)、4日目以降も休業した場合に支給されます(健康保険法99条1項)。傷病手当金の対象となるのは、4日目以降の休業日ですので、注意が必要です。

    ④ 休業した期間に給与の支払いがない
    傷病手当金は、会社から十分な給与の支払いを受けられないときに利用する制度です。そのため、休業中も会社から給与が支払われている場合は、原則として傷病手当金は支給されません
    もっとも、会社から支払われる給与が、傷病手当金の金額よりも少ないときには、その差額分について傷病手当金の受給が可能です。

  3. (3)傷病手当金の計算方法

    傷病手当金として支給される1日あたりの支給額は、以下のように計算します。

    (支給開始日以前の12か月間の標準報酬月額を平均した額)÷30日×3分の2


    なお、就職したばかりであり、支給開始日以前の期間が12か月に満たない場合は、

    • ① 支給開始日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額の平均額
    • ② 標準報酬月額の平均額
      ・28万円(支給を開始した日が、平成31年3月31日までの方)
      ・30万円(支給を開始した日が、平成31年4月1日以降の方)
    ※上記①と②のいずれか低い額を基準として計算します。

2、その怪我、労災かも? 労災と傷病手当の関係とは

上述したとおり、業務外での怪我や病気で会社を休んだときには、傷病手当金を受けとることができます。しかし、怪我や病気の原因が会社での業務上のものであったときには、どうなるのでしょうか。
以下、労災と傷病手当金との関係について説明します。

  1. (1)労災となる条件

    労災とは、業務中や通勤中に発生した病気や怪我のことをいいます。このうち業務中の病気や怪我のことを「業務災害」といい、通勤中の病気や怪我のことを「通勤災害」といいます。

    業務災害と認定されるためには、労働者の負傷、疾病、障害又は死亡が「業務上」(労働者災害補償保健法(以下「労災保」といいます。)7条1項1号)の事由により生じることが必要です。
    そして、「業務上」に該当するといえるためには、業務遂行性業務起因性を満たす必要があり、前提として、使用者と労働者とが雇用関係にあることが必要です。業務委託関係に過ぎない場合、基本的に労災の適用はありません。

    ① 業務遂行性
    業務遂行性は、当該労働者が労働契約を基礎として形成される使用者の支配ないし管理下にあるといえる場合に認められます。
    簡単にいえば、労働者が会社の管理下におかれているか否かということです。

    ② 業務起因性
    業務起因性は、業務又は業務行為を含めて労働者が労働契約に基づき事業主の支配下にあることに伴う危険が現実化したものと経験則上いえる場合に認められます。
    簡単にいえば、「この仕事をしなければ、この災害は起きなかった」といえるような関係にあるか否かということです。

  2. (2)労災の申請方法

    労災保険から休業(補償)給付を受けるためには、労働基準監督署に休業(補償)給付の支給申請を行い、労災の認定を受ける必要があります。申請から支給までの具体的な流れは、以下のとおりです。

    • ① 会社に労働災害が起きたことを報告
    • ② 労働基準監督署に休業(補償)給付支給申請書を提出
    • ③ 労働基準監督署の調査
    • ④ 労働基準監督署からの支給決定通知
    • ⑤ 休業(補償)給付の支払い
  3. (3)労災と傷病手当金との関係

    労災保険における休業中の補償は、休業(補償)給付という制度になります。
    なお、業務災害の場合、給付名に「補償」の文字が含まれていますが、通勤災害の場合には「補償」の文字が含まれていません。

    休業(補償)給付は、労働者が労働災害により傷病を負い、その療養のために労働することができず賃金を受けられないときに、賃金を受けない日の第4日目から支給されます。
    休業(補償)給付の額は、原則として、対象となる給付基礎日額の60%に相当する額となります。
    給付基礎日額とは、簡単に説明すると、労働災害が発生した日以前「3か月」の賃金の総額を、その期間の総日数で除した額です。
    休業(補償)給付に加えて、給付基礎日額の20%が特別支給金として支給されますので、休業期間中であっても合計80%の収入が補償されることとます。

    労災の休業(補償)給付は、業務上の怪我や病気での休業に対して支給されます。
    一方で、傷病手当金は、業務外の怪我や病気による休業に対して支給されますので、両者は支給される場面が異なります。

    原則として、労災保険から休業(補償)給付を受けている場合には、健康保険からの傷病手当金は支給されません。ただし、休業(補償)給付の金額が、傷病手当金の金額よりも低いときには、その差額分が支払われることがあります。

  4. (4)傷病手当金と雇用保険の傷病手当との関係

    傷病手当金と似たような制度として、雇用保険の「傷病手当」というものがあります。

    雇用保険の傷病手当とは、失業中に怪我や病気で働けない場合に、生活を保障するために雇用保険から支給される手当のことをいいます。傷病手当の受給要件としては、失業し、ハローワークに求職の申込みをした後に怪我や病気で15日以上継続して仕事に就けない状態にあることが必要となります(雇用保険法37条)。

    健康保険による「傷病手当金」と雇用保険による「傷病手当」とは、名称が似ていますが、別の制度になります。また、「傷病手当金」と失業後に給付を受ける「傷病手当」との両方を同時に受け取ることはできません。

3、労災でもカバーしきれない損害はどうしたらいい?

怪我や病気の原因が業務中の事故の場合、基本的には、労災保険から一定の給付金の支払いを受けることができます。しかし、労災保険給付は、国からの最低限度の補償ですので、労災被害に遭った労働者の損害すべてが補償されるわけではありません。

特に、障害が残るような怪我や病気をしてしまったときには、労働者の受ける損害は重大です。しかし、労災保険からは、慰謝料の支払いはありませんし、逸失利益などの補償も十分とはいえません。

このように、労災事故に遭ったときには、労災保険でカバーできない損害が生じるのが通常です。労災事故について会社に責任がある場合、労災保険でカバーできない部分については、会社に対して別途請求することができます。

会社に対して労災を理由に損害賠償請求をするためには、安全配慮義務違反(民法415条)や不法行為責任(民法709条・民法715条等)を主張・立証する必要があります。簡単にいえば、会社に落ち度があったことを主張・立証することとなります。

労災事故に関して会社に落ち度があると考えられる場合には、労災保険からの補償だけでなく、会社に対する損害賠償請求も検討した方がよいでしょう。

4、労災について弁護士に相談するべき理由

  1. (1)会社に対する損害賠償請求

    仕事中に怪我をしてしまった方、特にこれによって障害が残ってしまった方は、労災保険の補償とは別に、会社に対して多額の損害賠償請求をすることのできる可能性があります。

    しかし、労災の認定を受けたとしても、業務遂行性と業務起因性が認められたに過ぎません。さらに一歩踏み込んで、会社の落ち度を主張・立証する必要があります。安全配慮義務違反(民法415条)や不法行為責任(民法709条・民法715条等)を検討するためには、法的な知識が不可欠ですので、適切な賠償を受けるためにも、専門家である弁護士のサポートが重要となります。

    労働者が被った損害をきちんと回復するためにも、会社に対する損害賠償請求については、弁護士に依頼をして進めるとよいでしょう。

  2. (2)弁護士が代理人として会社と交渉ができる

    会社に対して損害賠償請求をするにあたっては、会社と交渉する必要があります。しかし、労働者と会社では、労働者の方が圧倒的に弱い立場にありますし、労災被害に遭って心身ともに疲弊した状態では、会社と対等に話合いを進めることは困難です。

    そのような場合には、弁護士に依頼することによって、会社との交渉をすべて一任することができます。ご自身の負担を減らし、交渉を有利に進めるためにも弁護士のサポートを受けることが有効です。
    また、会社が不当な主張をして折り合いが付かない場合、弁護士のサポートがあれば、訴訟などの裁判手続を利用することも可能となります。

5、まとめ

健康保険の傷病手当金の請求を検討している方の中には、実は業務中の怪我や業務に起因する病気であったなど、労災保険からの補償を受けるべき場合もあります。適切な補償制度を選択するため、そして適切な補償や賠償をしてもらうためにも、弁護士によるサポートが不可欠となってきます。

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※記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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