ベリーベスト法律事務所

会社への損害賠償請求

就労中の事故などが原因で怪我をしたり病気になってしまったりすることを労働災害と呼びます。労災認定がされれば、労災保険から状況に応じてさまざまな給付を受けることができますが、精神的な負担に対する慰謝料など、保険ではその損害が補償されないものがあることをご存じでしょうか。

労災保険では補填されない部分は、会社に対して請求できる可能性があります。会社側に安全配慮義務違反があったり、使用者責任が問えると考えられるケースに当てはまる場合は、会社に対して損害賠償請求をすることも検討しましょう。

労災保険給付では補償されないもの

労災保険は、そもそも損害を加えてしまった加害者が負う賠償責任をカバーするためのものではなく、仕事中に発生した災害によって被った被害をカバーするために作られたものであるため、入通院をしなければならない事態に陥ってしまったことに対する「入通院慰謝料」、後遺障害の等級に応じた「後遺障害慰謝料」、「死亡慰謝料」等、精神的な損害に対する慰謝料については、労災保険では補償されません。

また、休業損害についても、払われなくなった給料の全額が補償されるわけではなく、また、障害(補償)給付として支給される後遺障害による逸失利益についても、賠償責任を負う者がいるケースにおいて裁判所が認める損害の全額が補償されるわけではないことも知っておきましょう。

さらに、労災保険は一定率で算出した金額が支給されるものにすぎません。したがって、職業上の特性など、個別の事情で損害が多大なものになったとしても、そのような個別の事情は考慮してもらえないのです。

したがって、状況にもよりますが、労災保険給付だけでは補償が不十分となるケースがあります。労災申請が通り、給付金を受けることだけで納得してしまうのではなく、会社への損害賠償請求が可能かどうかを検討してみましょう

労災保険で補償されるもの 労災保険で補償されないもの
(会社に責任がある場合に損害賠償請求できるもの)
療養補償
休業補償(平均賃金の80%)
障害補償
遺族補償
葬祭料
傷病補償年金
介護補償 など
精神的損害に対する慰謝料
(入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料)
治療費や休業損害などの不足分
後遺障害や死亡による逸失利益の不足分
弁護士費用
遅延損害金 など

不足する部分は会社に対して損害賠償請求を検討しましょう

会社には、労働者を危険から保護し、安全な環境で仕事ができるように配慮する義務(安全配慮義務)があるとされているため、この安全配慮義務に違反し、労働者に損害を発生させてしまったのであれば、その損害について賠償すべき義務があるのです。

また、同僚による機械の操作ミスによって負傷してしまったような場合には、会社に対して使用者責任を問える可能性があります。なぜなら、会社は自身が雇った従業員が他人に負わせた損害についても、当該従業員と連帯して賠償責任を負う義務があるからです。

確かに、会社が安全配慮義務に違反した、もしくは使用者責任があったということについて、労働者側が具体的な事実を立証する必要があるなど、一定のハードルを越えなければなりません。しかし、労災保険だけでは十分な補償を得られない以上、会社に対する損害賠償請求を検討しなければ、ただ泣き寝入りすることになってしまいます。労災申請が通った場合には、必ず会社への請求ができないか検討すべきといえるでしょう。

なお、損害賠償請求の対象となるのは、直接雇用されている会社だけであるとは限らず、勤務する会社の親会社や元請会社などを対象にできる場合もあります。

いずれにせよ、損害賠償請求をするためには、法律の専門家である弁護士のサポートが必要不可欠となりますので、ぜひベリーベスト法律事務所にご相談ください。

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