労災保険給付申請手続き
原則として、被災した労働者または遺族が会社の所在地を管轄する労働基準監督署長に労災保険給付の支給請求をして、労働基準監督署長が支給決定をします。
上記の支給請求書には事業主証明欄があり、原則として、被災事実や賃金関係の証明印を得ておく必要があります。
療養(補償)給付の請求手続きの場合
労災保険給付手続きにおける会社の責任
労災保険給付を受ける場合、「負傷又は発病の年月日」「災害の原因及び発生状況」について会社の証明を受けなければなりません。
また、会社は、被災した従業員が、自分で保険給付の請求手続を行うことが困難な場合には、手続きに協力し、給付手続きに必要な証明を求められた場合には、対応する必要があります。
現実には、会社が証明を拒否した場合には、その旨を労働基準監督署に報告することで対応していることも多いです。
事故の発生の有無など特段事実関係に争いのない事項について会社が不合理に証明を拒否するなど証明をしないことに合理的理由がない場合には、積極的に証明を求めるべきです。
労働基準監督署長の決定に不服がある場合の流れ
労働基準監督署長の決定に不服がある場合の不服申立手続は、以下の流れになります。
1. 審査請求
処分を知った日の翌日から、60日以内に労働者災害補償保険審査官(以下「審査官」といいます。)に対して審査請求をします。
審査請求をした日から3ヶ月を経過しても決定がないときは、労働保険審査会に再審査請求が可能です。審査官は、原処分を取り消す決定または審査請求を棄却する決定をします。
2. 再審査請求
審査官の決定に不服がある場合
決定書の謄本が送達された日の翌日から起算して60日以内にする労働保険審査会(以下「審査会」といいます。)に対して再審査請求をします。
再審査請求をした日から3ヶ月を経過しても裁決がないとき、著しい損害を避けるため緊急の必要があるときなど正当な理由があるときは、原処分の取消訴訟の提起が可能です。
審査会は、原処分を取り消す裁決または再審査請求を棄却する裁決をします。
3. 再審査請求
審査会の裁決に不服がある場合
裁決があったことを知った日から6ヶ月以内に、地方裁判所に対し、原処分の取消訴訟又は裁決の取消訴訟を提起します。