
「これって労災だよな……でも、申請とか手続きって正直めんどくさいし、会社にも言いづらいな」そんなふうに感じていませんか?
労災事故に遭っても、手続きの煩雑さや職場への報告の気まずさから、申請をためらってしまう方は少なくありません。しかし、労災申請をしないことで本来受け取れるはずの補償を逃してしまうおそれがあります。
本コラムでは、労災申請をしない場合のデメリット、労災申請の流れ、会社が協力してくれない場合の対応策などについてベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
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1、労災申請がめんどくさい! 労災申請は必ずしなければならない?
以下では、労災申請がめんどくさいと感じる理由と労災申請をする義務があるかどうかについて説明します。
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(1)労災申請がめんどくさいと感じる理由
- 労災申請の手続きが複雑そうで、自分には難しそう
- 自分の不注意による怪我だから労災申請をしづらい
- 会社に報告したら、面倒な人だと思われそうで不安
労災申請がめんどくさいと感じてしまう理由には、こういったものが挙げられます。
しかし、基本的な労災申請の手続きの多くは会社側が対応するため、労働者本人の負担はそれほど大きくありません(詳しくは「3、労災申請の手続きと流れ」で解説します)。
めんどくさそうだからと申請をあきらめてしまうと、せっかく受け取れるはずの補償を逃してしまう可能性もあります。まずは、制度の仕組みを正しく知ることから始めましょう。 -
(2)労災申請は義務ではないが会社への報告は必要
労災申請は義務ではありませんので、労災申請をするかどうかは労働者本人の自由です。
ただし、労災申請をしないと労災保険からの給付が受けられないなどのデメリットがありますので、労災申請はした方がよいでしょう。
なお、労災事故が発生した場合、会社は「労働者死傷病報告」を労働基準監督署に提出する義務がありますので、労災申請をしないときでも会社に労災の報告は必要になります。
2、めんどくさいからといって労災保険を使用しない場合のデメリット
「労災申請はめんどくさいから……」と申請を見送ってしまうと、大きな不利益を被る可能性があります。特に以下のような点は、多くの方が後悔しやすいポイントです。
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(1)治療費を全額自己負担しなければならない
労災による怪我や病気の治療には健康保険を利用することができませんので、病院での治療費は全額を自己負担しなければなりません。健康保険を利用すれば自己負担が3割で済むところを10割の負担になりますので、経済的な負担が大きくなってしまいます。
労災に該当する治療は原則として健康保険の適用外です。誤って健康保険で受診した場合は後で健康保険組合から治療費の返還を求められる可能性があります。
経済的リスクだけでなく、制度上のトラブルにも発展しかねないため、適切な申請は非常に重要です。 -
(2)労災保険からの補償が受けられない
めんどくさいという理由で労災保険を利用しない場合、当然ながら労災保険からの補償を一切受けることができません。
労災保険では、次のような給付を通じて、被災した労働者の生活を支える仕組みが整っています。- 療養(補償)等給付:治療費を原則全額カバー
- 休業(補償)等給付:仕事を休んだ期間の賃金の約8割を補償
- 障害(補償)等給付:障害が残った場合の一時金または年金
これらの給付を利用できない場合、治療中の生活費の確保が困難になったり、長期的な後遺障害に対して十分な補償を受けられなかったりする可能性があります。
「めんどくさい」という理由で申請を見送ることが、結果として大きな経済的リスクを招くこともあるため、注意が必要です。 -
(3)後から労災申請しようとしても時効で申請できないリスクがある
労災申請には時効があります。つまり一定期間を過ぎると労災給付を受ける権利が消滅してしまいます。
給付の種類によって時効期間は異なり、たとえば以下のような期限が設けられています。- 療養補償給付・休業補償給付など:原則として【2年】以内
- 障害補償給付・遺族補償給付など:原則として【5年】以内
また、時効前に申請ができたとしても労災事故から時間が経過していると、業務が原因だったことを証明しづらくなり、労災認定を受けられない可能性もあります。
「あとで申請すればいいや」と放置しているうちに、補償を受ける権利そのものを失ってしまうことがあるため、早めに対応するようにしましょう。
3、本当はめんどくさくない? 労災申請の手続きと流れ
労災申請は、実際には会社が対応してくれる部分も多く、すべてを自分で抱え込む必要はありません。以下では、一般的な労災申請の流れをご紹介します。
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(1)労災の発生を労働者が会社に報告
怪我や病気が仕事中や通勤中に発生した場合は、できるだけ早く会社に労災発生の報告を行いましょう。
労働者からの報告を受けた会社は、所轄の労働基準監督署に「労働者死傷病報告」を提出する義務があります。書類の作成・提出はすべて会社側が行うため、労働者の手間はかかりません。 -
(2)労災の請求書を労働基準監督署に提出
労災申請は、労災の請求書を作成して労働基準監督署に提出するという方法で行います。
労災の請求書は、原則として労働者本人が作成することになっていますが、会社には労災申請時の助力義務があります。そのため、会社が労災の請求書の作成をしてくれるケースであれば、労働者本人の負担はほとんどなく、それほどめんどくさくはありません。
ただし、会社が労災だと認めない場合は、労働者本人が自力で書類を作成し、手続きを行う必要があります。そのような場合は労働基準監督署に相談しながら労災申請の手続きを進めていきましょう。必要に応じて、弁護士への相談も視野に入れると安心です。 -
(3)労働基準監督署による調査
労働基準監督署に労災の請求書を提出すると、労働基準監督署による調査が行われます。
この調査では、提出書類の確認に加え、関係者からのヒアリングなどが行われ、業務中や通勤中に発生した災害であるかどうか(業務起因性・業務遂行性)を判断されます。
特に、仕事中なのか私的な行動中だったのかといった点が焦点になることもあるため、できるだけ具体的な事情を整理しておくとスムーズです。 -
(4)労災給付決定または不支給決定
労働基準監督署による調査の結果は、労災申請をした労働者に通知されます。
労災認定となれば「労災給付決定」が通知されますが、不認定の場合は「不支給決定」が通知されます。給付決定が出た場合は、必要な労災給付を受ける手続きが始まります。
なお、不支給となった場合でも、労災認定の結果に不服があるときは、不服申し立てを行うことが可能です。 -
(5)保険給付
労災認定を受けられれば、労災保険から以下のような保険給付を受けることができます。
- 療養(補償)等給付:治療費の全額補償(自己負担なし)
- 休業(補償)等給付:休業期間中の生活費(給付基礎日額の約8割)
- 傷病(補償)等年金:長期治療が必要な場合の定期的な支援
- 障害(補償)等給付:障害が残った場合の一時金または年金
- 遺族(補償)等給付:労災で亡くなった場合、遺族に支給される補償
- 葬祭料等(葬祭給付):葬儀にかかる費用の補助
- 介護(補償)等給付:介護が必要になった場合の費用補助
これらの給付は、生活の再建を支える重要な支援制度です。要件に該当する場合は、漏れなく受け取れるよう、必要書類の準備や確認をしっかり行いましょう。
4、会社が労災を認めてくれない場合は弁護士に相談を
会社が労災を認めてくれない場合は、自分だけで対応するのは大きな負担になります。そんなときこそ、弁護士のサポートを受けることで、労災申請のハードルを下げ、適切な補償を受ける可能性を広げることができます。
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(1)労災申請のアドバイスやサポートが受けられる
労災申請には多くの書類が必要で、記入項目も細かく、専門用語が多いため慣れていない方では大変に感じることもあると思います。会社が労災を認めてくれない場合、労働者自身で手続きをする必要がありますが、めんどくさいという理由で労災申請をあきらめてしまうと労災保険から保険給付を受けることができませんので、被災労働者の経済的負担は非常に大きなものとなってしまいます。
弁護士に相談すれば労災申請のアドバイスやサポートが受けられますので、会社の協力が得られなかったとしても適切に労災申請の手続きをスムーズに進めることができます。 -
(2)会社に対する損害賠償請求をする際は、弁護士のサポートが不可欠
労災保険から保険給付を受けることができたとしても、労災保険には慰謝料が含まれておらず、障害が残ったときの補償も十分なものではありません。このような場合は、会社に対する「損害賠償請求」を検討することになりますが、それには会社の法的責任(安全配慮義務違反や使用者責任)を立証するための専門的な知識が不可欠です。
弁護士に依頼すれば会社との交渉や労働審判・裁判などの法的手続きにも対応可能ですので、安心して任せることができます。
5、まとめ
労災申請をめんどくさいと感じて申請を見送ってしまうと、本来受けられるはずの補償を失うリスクがあります。
実際には、会社が手続きを担う部分も多く、あなた自身の負担はそれほど大きくありません。
労災申請をしないと労災保険からの補償が受けられない、治療費を全額自己負担しなければならない、将来労災申請をしようとしても時効により権利が消滅してしまうなどのデメリットがありますので、労災申請はめんどくさがらずに早めに対応するべきです。
また、会社が労災を認めてくれない場合は、労働者自身で労災申請をしなければなりませんので、ひとりで抱え込まず、労基署や弁護士に相談することも検討しましょう。
労災申請や会社とのやりとりに不安がある方は、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。
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交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。
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