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労働災害(労災)コラム

公務災害の補償とは? 公務員なら知っておきたい基礎知識

2022年01月31日
  • 公務災害
公務災害の補償とは? 公務員なら知っておきたい基礎知識

民間企業に勤める労働者が勤務中に怪我や病気になったときには、労災保険から一定の補償を受けることができます。では、公務員が同様に勤務中に怪我や病気になったときには、どのような補償を受けることができるのでしょうか。

公務員が勤務中に怪我や病気になったときには、労災保険と同様の制度として公務員災害補償制度というものがあります。これによって、公務員であっても怪我の治療費や障害の補償などの一定の給付を受けることができます。

本コラムでは、公務災害にあった公務員の方達に向けて、公務災害の補償と公務員の損害賠償請求について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、公務災害とは

公務員が公務災害に遭ったときには、国から一定の補償がなされることになります。では、公務災害とはどのような内容のものをいうのでしょうか。以下では、公務災害についての概要について説明します。

  1. (1)公務災害とは何か

    公務災害とは、公務員が公務中や通勤中に発生した怪我や病気のことをいいます。公務員が公務災害によって災害を受けたときには、公務員災害補償制度によって、その災害によって生じた損害が補償されることになります。

    公務員災害補償制度については、対象が国家公務員の場合には「国家公務員災害補償法」、対象が地方公務員の場合には、「地方公務員災害補償法」が適用されます。

    公務員については、国家公務員か地方公務員かによって根拠となる法律が異なりますし、地方公務員でも常勤か非常勤かによって根拠となる法律が異なることがあります。そのため、個別の事案でどの法律が適用されるか、判断に迷われたときには、まずは弁護士に相談をしてみるとよいでしょう。

  2. (2)公務災害の認定件数が多い職種

    一般財団法人地方公務員安全衛生推進協会が公表している「公務災害の現況~平成30年度認定分~」という資料によると、公務災害の職種別認定件数は、教育公務員が27%、警察官が22.3%、看護師が11.1%、消防吏員が5%などとなっています。

    教育公務員(国公立学校の教員など)については、体育指導、部活動指導、など日常的に怪我をしやすい環境にあることから公務災害の認定件数が多いものと考えられます。また、警察官や消防吏員についても危険な活動に従事していることから、公務災害の発生件数が多いと考えられ、看護師については、その業務の危険性だけでなく、夜勤や長時間労働なども公務災害が多い要因と考えられます。

2、公務災害の補償内容

公務災害に遭ったときには、どのような補償を受けることができるのでしょうか。以下では、常勤の地方公務員が公務災害に遭った場合を想定して説明します。

  1. (1)療養補償

    療養補償とは、公務員が公務災害と認定された怪我や病気について、それらが治癒(症状固定)するまでに必要となる治療費などの費用を支給するものです。療養補償の範囲については、療養上相当と認められるものに限られます。

  2. (2)休業補償

    休業補償とは、公務災害によって療養のために勤務できない場合、その間の給与の損失を補塡(ほてん)するものです。勤務することができない期間1日につき平均給与額の100分の60に相当する額が支給されます。

    なお、別途休業援護金として、勤務することができない期間1日につき平均給与額の100分の20に相当する額が支給されますので、これらによって実質的には、平均給与額の100分の80が補償されることになります。

  3. (3)傷病補償年金

    傷病補償年金とは、公務災害による療養開始後、1年6か月を経過しても治らず、その障害の程度が傷病等級の第1級から3級に該当する場合には、障害の状態に応じ傷病補償年金が支給されます。

  4. (4)障害補償(障害補償年金、障害補償一時金)

    障害補償とは、公務災害と認定された傷病が治癒(症状固定)したものの、障害が残ったときにその障害の程度に応じて支給されるものです。障害補償には、障害等級第1級から7級までに支給される障害補償年金と障害等級第8級から14級までに支給される障害補償一時金の二種類があります。

    また、障害補償の受給権者には、障害特別支給金および障害特別援護金が一時金としてそれぞれ支給されます。

  5. (5)介護補償

    介護補償とは、傷病補償年金又は障害補償年金の受給権者で、総務省令で定める程度の障害を有し、常時又は随時介護を受けている場合に支給されます。

  6. (6)遺族補償(遺族補償年金、遺族補償一時金)

    遺族補償とは、公務員が公務災害によって死亡した場合に、その遺族に対して支給されるものです。遺族補償には、遺族補償年金と遺族補償一時金の2種類があります。

  7. (7)葬祭補償

    対象公務員の遺族であり、社会通念上葬祭を行うとみられる方に対して、31万5000円に平均給与額の30日分相当額を加えた額(この額が平均給与額の60日分相当額に満たないときは、当該平均給与額の60日分相当額)が葬祭補償として支給されます。

3、公務災害の認定基準

公務員災害補償制度による補償を受けるためには、被災職員が公務災害認定請求書(様式1)を提出し、公務災害の認定を受ける必要があります。公務災害の認定を受けるためには、以下の基準を満たしている必要があります。

  1. (1)公務災害の認定基準

    公務災害とは、公務に起因し、または公務と相当因果関係をもって生じた災害のことをいいます。公務災害が認定されるためには、「公務遂行性」および「公務起因性」の二つの要件を満たす必要があります。

    ① 公務遂行性
    公務遂行性とは、公務員が公務に従事していることをいい、任命権者の支配下にあるということが必要になります。

    ② 公務起因性
    公務起因性とは災害と公務の間に相当因果関係があることをいいます。単なる条件関係があるだけでは足りず、「あのような職務に従事していたならば、そのような災害が発生しうるであろうし、そのような災害が発生すれば、このような傷病等が生ずるであろう」といった発生後における客観的な蓋然性、すなわち、傷病等の原因のうち、公務が相対的に有力な原因であると認められることをいいます。

    公務災害の認定は、上記の基準で判断していくことになります。公務上の負傷の場合には、公務遂行性の要件を満たすときには、公務起因性の要件が否定されることは少ないですが、公務上の疾病の場合には、公務の過重性などに起因して発病したかどうかなど公務起因性の要件が慎重に判断されることになります。

  2. (2)公務上の負傷、疾病、通勤災害の具体的な基準

    公務災害の認定基準は、上記のとおりですが、災害ごとの具体的な基準は以下のとおりです。

    ① 公務上の負傷
    以下のケースで生じた負傷は、原則として公務上の災害となります。

    • 通常又は臨時に割り当てられた職務遂行中の負傷
    • 職務遂行に伴う合理的行為中の負傷
    • 職務遂行に必要な準備行為又は後始末行為中の負傷
    • 救助行為中の負傷
    • 防護行為中の負傷
    • 出張又は赴任の期間中の負傷
    • 特別の事情下の出勤又は退勤途上の負傷
    • レクリエーションに参加中の負傷
    • 設備の不完全または管理上の不注意による負傷
    • 入居が義務付けられている宿舎の不完全または管理上の不注意による負傷
    • 職務遂行に伴う怨恨(えんこん)による負傷
    • 公務上の負傷または疾病と相当因果関係をもって発生した負傷
    • その他、公務と相当因果関係をもって発生した負傷


    ② 公務上の疾病
    以下のケースで生じた疾病は、原則として公務上の疾病になります。

    • 公務上の負傷に起因する疾病
    • 認定基準で掲げられた職業病
    • その他公務に起因することが明らかな疾病


    ③ 通勤災害
    通勤災害とは、公務員が勤務のため、

    • 住居と勤務場所との間の往復
    • 勤務場所から他の就業場所への移動
    • 住居と勤務場所の往復に先行し、または後続する住居間の移動


    を、合理的な経路および方法により行うことに起因する災害のことをいいます。
    合理的な事情もないのに著しく迂回している場合(帰宅途中に映画館へ寄った場合、仕事とは関係の無い友人・知人に会いにいった場合など)には、合理的な経路とは認められません。

4、後遺障害・長期の治療になった場合

公務災害によって障害が残った場合や再発した場合には、以下のような補償が受けられます。

  1. (1)障害が残ったとき

    すでに説明したとおり、障害が残ったときには、障害補償、障害特別給付金、障害特別支給金、障害特別援助金が支給されます。

    具体的な金額は、以下のとおりです。

    障害等級 障害補償 障害特別給付金
    第1級 年金 給付基礎日額×313 障害補償年金の額×20/100
    第2級 給付基礎日額×277
    第3級 給付基礎日額×245
    第4級 給付基礎日額×213
    第5級 給付基礎日額×184
    第6級 給付基礎日額×156
    第7級 給付基礎日額×131
    第8級 一時金 給付基礎日額×503 障害補償一時金の額×20/100
    第9級 給付基礎日額×391
    第10級 給付基礎日額×302
    第11級 給付基礎日額×223
    第12級 給付基礎日額×156
    第13級 給付基礎日額×101
    第14級 給付基礎日額×56

    障害等級 障害特別支給金 障害特別援護金
    公務災害 通勤災害
    第1級 342万円 1540万円 915万円
    第2級 320万円 1500万円 885万円
    第3級 300万円 1460万円 855万円
    第4級 264万円 875万円 520万円
    第5級 225万円 745万円 445万円
    第6級 192万円 615万円 375万円
    第7級 159万円 485万円 300万円
    第8級 65万円 320万円 190万円
    第9級 50万円 250万円 155万円
    第10級 39万円 195万円 125万円
    第11級 29万円 145万円 95万円
    第12級 20万円 105万円 75万円
    第13級 14万円 75万円 55万円
    第14級 8万円 45万円 40万円
  2. (2)再び療養が必要になったとき

    病気や怪我が治癒(症状固定)した後に、以下のような状態となったときには、「再発」として扱われ、療養補償などの支給を再び受けられることになります。

    • 自然的な経過により症状が悪化して、再び療養を必要することになったとき
    • 医療効果が期待できないために治癒とした後に、医学の進歩などによって医療効果が期待できるようになったとき

5、公務災害における損害賠償請求

公務災害に遭ったときには、公務員災害補償制度による補償以外にもその被害を回復する手段があります。

  1. (1)安全配慮義務違反

    公務災害について、使用者(国または地方公共団体)に安全配慮義務違反があるときには、労災の事例と同様に公務員は使用者に対して損害賠償請求をすることができます。

    公務災害と認定されれば、公務員災害補償制度によって一定の補償が支給されます。しかし、労災保険と同様に、精神的苦痛に対する慰謝料(入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料)の支払いはなく、休業補償についても、平均給与額の80%までしか補償されません。また、公務災害によって障害が残ってしまったときには、障害補償などが支給されますが、将来の収入を補償するものとしては十分な金額ではありません。

    そのため、不足する部分については、国または地方公共団体に対して民事上の損害賠償請求を行うことで補償を求めることができます

  2. (2)第三者行為災害

    公務災害のうち、交通事故のように第三者の加害行為によって発生した災害のことを第三者行為災害といいます。第三者行為災害のケースでは、加害者である第三者に対する損害賠償請求権と、公務員災害補償制度の災害補償請求権の両方を有していることになります。

    これらの請求権がカバーする損害の範囲については、共通する部分もありますが、災害補償請求権では、すべての損害をカバーしているわけではありませんので、最終的には、加害者である第三者に民事上の損害賠償請求をすることになります。

  3. (3)弁護士に依頼するメリット

    公務員が損害賠償を請求したいと考えた場合、相手方となるのは、国または地方公共団体です。国または地方公共団体は、基本的には、任意の交渉には応じませんので、公務災害で損害賠償を請求するためには、訴訟を提起して裁判所に判決を出してもらう必要があります

    公務災害で訴訟提起をするためには、国または地方公共団体に公務災害発生について、安全配慮義務違反などの落ち度があったことを証拠によって立証しなければなりません。そのためには、訴訟提起前に適切に証拠収集を行い、場合によっては、裁判前に証拠を確保するために証拠保全の手続きを取らなければならないこともあります。

    これらの複雑な手続きを個人ですべて行うのは非常に困難です。実績のある弁護士に早めに相談し、一緒に進めていくことが大切です。

    また、公務災害によって重い障害が残った場合には、逸失利益や慰謝料などで高額な賠償額となることが予想されますので、適切な賠償額を獲得し、公務災害によって被った被害を回復するためには、特に弁護士によるサポートが必要不可欠です。

    公務災害に遭い、使用者や第三者への損害賠償を検討している方は、まずは弁護士に相談しましょう。

6、まとめ

公務員が仕事中や通勤中に病気や怪我になったとしても、民間企業に勤める労働者と同様に補償を受けることができます。しかし、この場合の補償も労災保険と同様に、公務員の被害回復にあたって十分な補償額とはいえませんので、最終的には、使用者や第三者への損害賠償を検討することになります。

公務災害に対する損害賠償請求には、弁護士による法的サポートを受けることが有効です。公務員災害補償制度による補償額に納得がいかない公務員の方は、ベリーベスト法律事務所までご相談ください。

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※記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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