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労働災害コラム

労働災害による損害賠償を請求するには? 解決方法を弁護士が解説

2020年10月15日
  • 労災
  • 損害賠償
労働災害による損害賠償を請求するには? 解決方法を弁護士が解説

労働災害は日々全国で起こっています。厚生労働省の調査によれば、長期的に見て労働災害の発生件数は減少しているものの、ここ3年で休業4日以上の死傷者数が増加してしまっています。

労働者災害補償保険法(労災保険法)上、労働災害に遭うと労働者災害補償保険(労災保険)から治療費や休業補償などが給付されますが、それだけでは生活していくのに不十分なこともありますし、労災保険から支給されるのは生じてしまった損害の一部分であるため、会社に対して損害賠償請求をすることも検討すべきでしょう。

本コラムでは、労働災害に遭った場合に請求できる損害賠償や損害賠償請求をする方法などについて弁護士が解説します。

1、労災における損害賠償とは

労働災害(労災)で損害賠償として請求できるのは、どのようなものがあるのでしょうか。

  1. (1)損害賠償における慰謝料の位置付け

    労災保険及び会社から適切な補償を受けるために、まずは損害賠償と慰謝料の関係を正確に理解しましょう。
    損害賠償とは、加害者の作為・不作為によって被害者に生じた損害を補償するために支払われるものです。この損害のうち、加害者の行為によって被害者が受けた肉体的・精神的苦痛に対して支払われるものを慰謝料といいます。したがって、慰謝料は損害賠償の一部を構成するものです。

  2. (2)労災で請求できる損害賠償の種類

    労災で請求できる損害賠償には、大きく分けて財産的損害・精神的損害の2種類がありますが、そこからさらに以下のように種類が分かれます。

    <財産的損害>
    ①積極損害
    積極損害には、治療費、通院交通費などの治療関連費があります。そのほか、必要に応じて将来発生する介護費や家屋や車の改造費、葬儀関係費用なども積極損害として認められます。

    ②消極損害
    消極損害には、休業損害や逸失利益があります。休業損害とは、ケガや病気によって一定期間仕事を休んだ際の減収分を補償するものです。逸失利益とは、労災に遭わなければ得られたであろう将来の収入のことを指します。

    <精神的損害>

    入通院慰謝料 労災によって入院や通院を余儀なくされたことよる精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。
    後遺障害慰謝料 労災によるケガ・病気により後遺障害が残った場合、認定された等級に応じて支払われる慰謝料です。
    死亡慰謝料 労災によるケガ・病気で残念ながら死亡してしまったときに、遺族に支払われる慰謝料です。

2、労災で損害賠償を請求するには?

  1. (1)労災で損害賠償を請求するための条件

    ♦ケガ・病気が業務または通勤によるものであること
    労災には「業務災害」と「通勤災害」の2種類がありますが、労災の認定を受けるには、ケガ・病気が業務または通勤によって起こったものであることが必要です。業務災害とは、労働契約に基づく事業主の支配下のもとで起こったものであること(業務遂行性)とケガ・病気と業務に因果関係のあること(業務起因性)の2つの条件をクリアすることが必要です。

    ♦会社側に安全配慮義務違反があった場合
    事業主には、従業員が心身ともに安全に仕事ができるよう配慮しなければならない労働契約法上の義務があります。これを「安全配慮義務」といいますが、会社がこの義務に違反した結果として労災事故が起こったといえる場合には、会社側に損害賠償請求ができるのです。

    ♦使用者責任がある場合
    ほかの従業員の業務上の行為によって他人に損害が生じた場合、使用者である会社は賠償責任を負うことになります。会社自体は労災の加害者ではありませんが、加害者となった従業員を雇った会社にも責任があるのです。

    ♦労働者に過失がある場合でも損害賠償請求はできる
    なお、労災の発生において被災労働者(被災者)の不注意(過失)が原因の一つになっている場合であっても、労災保険からの支給を受けることはできますし、会社へ損害賠償請求することもできます。
    たとえば、従業員が一人で作業をしている最中にうっかりケガをしたものの、会社側が安全装置を付けることを怠っていたようなケースです。これらの場合でも労災保険は満額支給されますし、会社に対して安全配慮義務違反を追求することもできますが、被災労働者側に過失があると、会社に対する損害賠償請求時に過失相殺されることがあります。なお、労災発生について、労働者に過失にとどまらない故意または重過失が認められると、労災保険給付の全部または一部を支給制限されることがあります。

  2. (2)安全配慮義務違反が認められるには

    安全配慮義務違反が認められやすいのは、労働安全衛生法や労働安全衛生規則の規定に違反している場合です。たとえば、会社にある設備や会社から支給されている機器・道具が原因で労災事故が起こった場合や、社員教育が不十分だったことにより生じた労災事故が安全配慮義務違反となりえます。

    どのような場合に安全配慮義務違反が認められるのかについては、労働者の職種や業務内容、働く場所などを考慮して決められることになります。労働災害発生に際して労働基準監督署が立ち入り調査をして法令違反が見つかった場合や、経営者や担当者が刑事処分を受けた場合は安全配慮義務違反がより認められやすい傾向にあります。

  3. (3)使用者責任が認められるには

    使用者責任が認められるのは、たとえば会社の従業員が別の従業員にケガをさせたりした場合などです。会社側は「その従業員がやったことだから会社には関係ない」と責任逃れをすることはできません。会社は従業員を使用することで利益を得ているわけなので、従業員の業務上の行為によってほかの従業員に損害を与えた場合は、加害者となった従業員と連帯して責任を負うことになります。

3、損害賠償額はどのように算出される?

損害賠償額については、費目によってそれぞれ算出の仕方が異なります。以下の方法を参考にしてみてください。

  1. (1)労災による財産的損害の算出方法

    <治療関連費>
    治療費や入院費などは労災申請が認められれば労災保険から給付されます。ただし、入院するときに個室を希望した場合は、労災保険で差額ベッド代は認められないため注意が必要です。通院交通費は、本人の分のみならず、本人の症状が重い場合には付き添いの親族の分も含みます。ただし、通院交通費の支給は片道2kmを超える場合で、自宅と同一の市町村にある病院に通院する場合など、一定の条件があります。

    <休業損害>
    労災保険給付としては、直近3か月の平均賃金の6割を休業補償として、2割を特別支給金として受け取れます。そのため、直近3か月の平均賃金の8割を受給できるのです。なお、休業初日から3日間は労働基準法上、事業主が休業補償を行うことになっているので、労災保険から休業補償を受けられるのは休業4日目からとなります。
    なお、特別支給分は損害の補填とはみなされないため、会社側の安全配慮義務違反などがある場合は、会社に対して平均賃金の4割分を請求することができます。

    <逸失利益>
    後遺障害逸失利益の場合は、以下の計算で算出します。

    後遺障害逸失利益=労災前の1年間の収入×後遺障害認定等級に応じた労働能力喪失率×労働能力喪失期間(67歳まで)におけるライプニッツ係数

    労働能力喪失率とは、後遺障害によって労働能力が低下した割合のことを指し、等級ごとに予め定められています。

    ライプニッツ係数とは、中間利息を控除するために使う数値のことです。逸失利益は一時金で支払われるのが通常ですが、その際に将来得られる予定だった収入が支払時期において全額支払われることになれば、被災者が運用利息分だけ多く受け取り過ぎてしまうことになるため、その運用利息分をライプニッツ係数を用いることで控除する必要があるのです。

  2. (2)労災による慰謝料の算出方法

    入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料の3つの慰謝料は、労災保険では補償されません。そのため、不足している部分については、会社に対して損害賠償請求することが可能です。
    弁護士が会社側に損害賠償請求する場合は、裁判所基準(弁護士基準)をもとに金額を算出します。

    <裁判所基準(弁護士基準)とは>
    裁判所基準(弁護士基準)とは、過去の裁判例をもとに算出された慰謝料の基準のことです。弁護士が交渉する場合や裁判になったときに利用されます。

    <入通院慰謝料(別表Ⅰ)>

    入通院慰謝料表


    <後遺障害慰謝料>

    等級 裁判所基準
    第1級 2800万円
    第2級 2370万円
    第3級 1990万円
    第4級 1670万円
    第5級 1400万円
    第6級 1180万円
    第7級 1000万円
    第8級 830万円
    第9級 690万円
    第10級 550万円
    第11級 420万円
    第12級 290万円
    第13級 180万円
    第14級 110万円


    <死亡慰謝料>

    被害者が一家の大黒柱の場合 2800万円
    被害者が母親・配偶者の場合 2500万円
    その他の場合 2000万円~2500万円

4、労災の解決方法・手段について

労災問題について会社に損害賠償を請求する場合には、示談交渉あるいは民事裁判で解決することになります。どちらの方法がよいのかについては、弁護士等の専門家に相談し、アドバイスをもらうようにしましょう。

  1. (1)労災の解決方法①示談交渉で解決する

    示談交渉とは、会社と労働者という当事者同士で解決を図ることです。内容証明郵便を送るなどして会社側に労災保険ではカバーされない休業損害や慰謝料等の損害賠償などを請求します。状況によっては「あなたにも非があったのだから」と会社側が過失相殺を主張してくる可能性もありますが、弁護士がついていれば事故の状況から過失の有無や割合について法的根拠に基づいて主張できるでしょう。

  2. (2)労災の解決方法②裁判で解決する

    任意交渉がうまくいかない場合は、民事裁判で争うことになります。会社側の安全配慮義務違反の有無や労災事故との因果関係などについて準備書面と客観的な証拠をもとに立証・主張し、少しでも有利な判決を引き出すことを目指します。

  3. (3)労災について相談できる場所

    労災の申請方法や労災隠しなど、労災にまつわることについて誰かに相談したいとき場合は、以下のような相談窓口があります。

    ♦労働基準監督署
    労働基準監督署では、労働者・使用者双方からの労災に関する相談を受け付けています。なお、現在は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、対面での対応を避けるため電話での相談が推奨されています。「労災保険相談ダイヤル(PDF:398KB)」も開設されていますので、利用してみるのもよいでしょう。
    労災保険の手続に関する質問は、労働基準監督署に聞いてみるのが一番確実です。

    ♦弁護士
    「労災が発生した場合に、会社が責任を負うか否か」という点を判断するにあたっては、極めて高度な法的知識が必要とされますので、労災の相談のうち、会社に対する請求に関しては、弁護士に相談されることをおすすめします。労働基準監督署は、労災保険に関する質問については丁寧に答えてくれますが、会社の責任の有無等については関与してくれません。

5、まとめ

労災事故によりケガをしたら、ケガの程度により入院や通院が必要になったり、しばらく仕事を休むことになったりする可能性があります。労災保険からの給付のみならず、会社から適切な補償を受けなければ、生活の維持も難しくなってしまうかもしれません。
ベリーベスト法律事務所では、労災事故に遭った方やそのご家族からのご相談を受け付けております。まずはお気軽にご相談ください。

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※記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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