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ベリーベスト法律事務所
労働災害コラム

労災で働けなくなった! 会社を裁判で訴えたいがどうしたらいい?

2021年04月13日
  • 労災
  • 裁判
労災で働けなくなった! 会社を裁判で訴えたいがどうしたらいい?

働いていれば、勤務先での業務中や通勤途中で事故により怪我を負ってしまうこともあるでしょう。労働者災害補償保険法では、労働災害による怪我や疾病に対して、治療費や休業補償などを定め、一定の要件を満たしたときには、労災保険(以下「労災」といいます。)から保険給付がなされます。

しかし、労災による給付は、労働者が被った損害の全額を補償するものではありませんし、労災からは慰謝料の支給がありません。そのため、労災認定を受け、労災を受け取っていたとしても、補償としては不十分なケースがあります。そのようなときには、労働災害を招いた会社に対して、損害賠償請求を検討しましょう。

本コラムでは、勤務先の会社に対して労働災害の責任を問うため、裁判をする方法についてベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、会社に対して、労災で慰謝料請求できるケースとは

労働災害によって損害を被ったときには、被災者が、勤務先の会社に対してその損害の賠償を求めることができる根拠は、以下の3つです。

  1. (1)不法行為

    民法709条では、故意または過失によって他人の権利や利益を侵害した者は、損害を賠償する責任(不法行為責任)を負う、と定めています。

    不法行為責任が成立するためには、以下の要件を満たす必要があります。

    1. ①故意または過失があること
    2. ②他人の権利を侵害したこと
    3. ③損害が発生したこと
    4. ④行為と損害に因果関係があること


    不法行為を理由として、会社に損害賠償請求をするケースとしては、会社が労働災害防止のための必要な措置を怠った結果、労働者が労働災害に巻き込まれたというケースが挙げられます。

    後述する安全配慮義務違反を理由に請求する場合と、内容は共通することが多いです。

    以前は、不法行為による損害賠償請求の時効が3年とされていたため、時効期間で有利な安全配慮義務違反(債務不履行)で請求するケースが多くありましたが、令和2年4月1日に改正民法が施行された結果、不法行為を根拠にする場合でも安全配慮義務違反を根拠にする場合でも時効期間は、例外的な場合を除いていずれも労働災害が発生した時から5年とされることになりました(民法166条、724条の2)。

  2. (2)使用者責任

    使用者責任とは、不法行為責任の一類型であり、従業員の行為によって第三者に損害を与えた時には、会社が第三者に対して損害の賠償をする責任を負うことをいいます(民法715条)。

    会社が直接の加害行為者ではないものの、従業員の活動によって利益を上げていることから、利益があるところに損失も帰すべきという報償責任や、従業員を使用して活動領域を拡大しているため、その分、責任を負うべきという危険責任が根拠とされています。

    使用者責任が成立するためには、以下の要件を満たす必要があります。

    1. ①事業のために使用者が従業員を使用していること
    2. ②使用者が民法709条の不法行為の要件を満たしていること
    3. ③その損害が事業の執行について加えられたものであること


    使用者責任を理由として会社に損害賠償請求をするケースとしては、職場での同僚のミスで怪我をしたようなケースが挙げられます。

  3. (3)安全配慮義務違反

    会社には、労働者がその生命・身体などの安全を確保しながら働けるよう、必要な配慮をする義務があります(労働契約法5条)。これを安全配慮義務といいます。

    会社が安全配慮義務に違反し労働者に損害を与えたときには、労働契約上の債務不履行として損害賠償責任を負うことになります(民法415条)。

    安全配慮義務違反を理由として会社に損害賠償請求をするケースとしては、夏場の熱中症対策が不十分であったために障害を負ったケースなどがあります。

2、会社との話し合い~裁判の流れ

労働災害に遭って会社に対して損害賠償請求をするときには、一般的には以下のような流れで、請求をします。

  1. (1)会社と話し合う

    労働災害の原因のある会社に対して損害賠償請求するときには、まずは、会社と話し合いを行います。労働者側は、労働災害が会社の安全配慮義務などが原因で起こったことを主張し、被った損害を請求していきます。

    しかし、労災認定を受けていたとしても、会社に落ち度があったことや安全配慮義務違反があったことは労災認定の要件となっていませんし、労災の認定内容が会社を法的に拘束するということもありませんので、労働者から損害賠償を請求しても、会社が一切応じないということも珍しいことではありません。

  2. (2)調停を申し立てる

    当事者同士の話し合いで解決できないときには、次の手段として調停の申し立てを行うことができます調停も話し合いによる解決手段の一種ですが、裁判所の調停委員が当事者の間に入って話し合いを進めてくれますので、当事者同士ではなかなか話し合いが進まないというケースでは、調停の利用は有効な手段といえるでしょう。

    もっとも、あくまでも話し合いの手続きですので、そもそも話し合いに応じる意思がないときや、調停日に出頭しないようなときには調停手続きはすすめることはできません。

    その場合では、次の裁判手続きをとるのがよいでしょう。

  3. (3)裁判を起こす

    話し合いや調停で解決できないときには、最終的に裁判を起こすことになります。裁判となれば解決までに相当長期間を要しますが、必ず公正中立な裁判所による結論が出るというメリットがあります。

    裁判では、労働者側が、会社側の落ち度があったことや安全配慮義務違反があったことを、証拠によって立証しなければなりません。この立証ができなければ、裁判では敗訴してしまします。

    このように裁判においては、証拠の有無が結論を左右するほど重要なものになってきます。しかし、会社側と労働者側とを比べると、圧倒的に労働者側の方が弱い立場にあり、手持ちの証拠が少ない場合が大半です。

    たとえば、過労死を理由に損害賠償請求をするには、労働時間を立証するためには、通常タイムカードや出勤簿などがその裏付けの証拠となります。また、仕事の状況や職場環境を立証するためには、業務日誌やメールデータなども証拠となるでしょう。

    しかし、会社側には不利な証拠となりますので、任意に提出を求めたとしても、隠されたり処分されたりするおそれがあります。そのようなケースでは、証拠保全の手続きが必須です

    証拠保全とは、裁判所を通じて事前に会社が有する証拠の提出を求める手続きで、これを利用することによって、証拠資料の隠匿や処分を回避することができます

3、会社に請求できるお金の種類

労働災害で、会社に対して請求することができる損害としては、以下の項目があります。

労災から補償を受けていたとしても、その不足分については、会社に請求することが可能です。

  1. (1)積極損害

    積極損害には、治療費、入院雑費、通院交通費などが含まれます。労災の給付を受けている方は、労災から療養補償給付として治療費は全額支払われていることが多いかと思いますので、会社に対しては、労災保険給付の補償対象に含まれない入院雑費や通院交通費などについて請求をしていくことになります。

  2. (2)後遺症逸失利益、死亡逸失利益

    逸失利益とは、労働災害の結果、障害が残ったときや死亡したときに、将来得られるはずの収入の減収分を損害としてとらえたものです。逸失利益については、労災において障害補償給付、遺族補償給付が支給されることになりますが、十分な金額が補償されるとは限りません。そこで、労災保険給付の補償との不足分について、会社に対して請求をしていくことになります。

    後遺障害逸失利益の計算方法は、基礎収入×労働能力喪失率×稼働年数に対応するライプニッツ係数という計算方法が一般的です。後遺障害の程度が重ければ重いほど、労働能力喪失率が高くなりますので、逸失利益の額は高額になります。

    死亡逸失利益については、基礎収入×稼働年数に対応するライプニッツ係数×(1-生活費控除率)という計算方法が一般的です。

  3. (3)休業損害

    労災の認定を受けた方は、労災の給付によって、休業補償給付を受けることができます。しかし、休業後3日目までの部分と、4日目以降の給付基礎日額の6割を超える部分については、労災保険による休業補償給付の対象外となっています。
    なお、給付基礎日額の2割分は、別途特別支給金として受給することができます。

    そこで、会社に対しては、労災の休業補償給付の対象外となった部分について請求していくことになります。
    損害賠償実務における休業損害の算定の前提となる休業日額と労災の給付基礎日額の計算は必ずしも一致しませんが、休業後3日目までの部分及び基礎日額の4割に相当する金額を、会社に対して休業損害として請求するというイメージで良いかと思います。

  4. (4)慰謝料

    精神的損害(慰謝料)については、労災の給付では予定されていませんので、その全額を会社に対して請求していくことになります。請求できる慰謝料としては、労働災害よって負ったケガの内容や程度によって以下のものがあります。

    ①入通院慰謝料
    労働災害によって、入院や通院をしなければならなくなったことに対する精神的な苦痛を慰謝するための損害です。

    ②後遺障害慰謝料
    労働災害によって、後遺障害が残ったときに労災によって後遺障害が認定されたときに、後遺障害が残存したことに対する精神的苦痛を慰謝するための損害です。
    後遺障害等級に応じてその金額を算出することができます。

    ③死亡慰謝料
    労働災害によって死亡してしまったときに、本人及び遺族の方に生じた精神的な苦痛を慰謝するための損害です。

  5. (5)弁護士費用

    不法行為の被害者が、損害賠償請求のために訴訟提起を余儀なくされ、訴訟遂行を弁護士に委任した場合、相当額の弁護士費用も賠償の範囲に含まれると裁判所は認めています。(最一昭和44年2月27日)

    労働災害による裁判は、安全配慮義務(債務不履行)を理由に請求することが多いため、それでも弁護士費用を請求することができるかが問題となりますが、判例では、安全配慮義務の裁判でも弁護士費用の請求を認めています(最二小判平成24年2月24日)。

4、弁護士に依頼するべき理由

労働災害の損害賠償請求を考えている方は、弁護士に依頼することをおすすめします。

  1. (1)代理人として、会社との交渉を依頼できる

    労働災害の損害賠償請求は、勤務先の会社に対して請求していかなければなりません。労働災害に遭い、日常生活にも不利益が生じている状況で、会社とも交渉をしなければならないとすると、心身ともに負担が大きいでしょう。

    そのようなときには、弁護士に依頼をして会社との交渉を一任することで、精神的負担はいくらか軽減し、日常生活を心配なく過ごしたり治療に専念することが期待できます。もし話し合いで解決できなかったとしても、弁護士はその後の調停・裁判といった手続きまでサポート可能です。

  2. (2)証拠保全などの複雑な手続きができる

    労働災害による損害賠償請求をするためには、会社に過失や安全配慮義務違反があったことを証明しなければなりません。しかし、労働者側には、それらを立証するだけの十分な証拠がそろっているということはあまりなく、裁判で争うためには、証拠を収集しなければなりません。

    そのための手段として、証拠保全という手続きがありますが、非常に複雑な手続きですので、労働者個人が行うことは簡単ではありません。

    証拠の有無が、労働災害の損害賠償請求をするにあたっては非常に重要になりますので、証拠収集の段階から弁護士に依頼して、進めていくとよいでしょう

  3. (3)正確な損害額を計算できる

    損害賠償請求をするためには、各損害項目について正確に金額を算定しなければなりません。労働災害の事案では、それだけでなく、労災給付との調整や過失相殺など複雑な損害額の計算も必要です。

    会社に対して適正な賠償額を請求するためにも、弁護士に依頼する必要があります

5、まとめ

労災認定を受け、労災から補償を受けているとしても、十分な補償というわけではありません。不足している部分については、会社に対して請求が可能な場合があります

ベリーベスト法律事務所では、労働災害に関する経験豊富な弁護士が在籍しています。労災で会社の責任を追及したいと考えている方は、ベリーベスト法律事務所へお早めにご相談ください。

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