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労働災害(労災)コラム

労災事故で残ったしびれは後遺障害? 障害等級認定の基準と申請手順

更新: 2023年09月28日
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労災事故で残ったしびれは後遺障害? 障害等級認定の基準と申請手順

治療を続けてもこれ以上症状が改善しない状態、いわゆる「症状固定」(労災においては「治癒」)後においても、労災によって負傷した部分にしびれが残ってしまうことがあります。

このような場合には、障害等級認定を受けることによって、労災保険から障害の内容や程度に応じた保険給付を受けることができる可能性があります。

しびれが残った場合には、どのような基準でどのような給付を受けることができるのでしょうか。本コラムでは、労災によるしびれに関する障害等級認定を受けるための手続きと損害賠償請求について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、労災給付の種類と内容

労災によるしびれが残った場合には、労災保険から補償を受けられる可能性があります。まずは、労災給付の種類と内容について解説します。

  1. (1)労災認定によって受け取ることができる給付

    仕事中や通勤中に怪我を負ったり、病気になったりした場合には、労働基準監督署の労災認定を受けることによって、労災保険から補償を受けることができます。オーソドックスなものとして、以下のような給付を受けることができます。

    ① 療養(補償)給付
    療養(補償)給付とは、原則として、怪我や病気が治癒するまでの治療に必要な費用を負担してもらうことができる制度です。療養(補償)給付の対象になるのは、治療費、入院費、看護料、移送費など治療するために通常必要となる費用です。

    ② 休業(補償)給付
    労働者が療養のために労働することができない状態になった場合には、休業4日目から賃金補償として休業(補償)給付が支払われます。特別支給金と合わせると、給付基礎日額の80%が補償されることになります。
  2. (2)労災によるしびれで受け取ることができる給付

    労災による怪我についてはしっかりと治療を行うことによって完治すればよいのですが、症状によっては、治療が終了して「治癒」と呼ばれる状態になったとしても、一定の症状が残ってしまうものがあります(症状固定)。この時点でしびれなどの症状が残っている場合には、等級認定を受けることによって、障害(補償)給付という給付金を受け取ることができます

    なお、労災保険から補償されない損害については、会社等の第三者に対して、損害賠償請求をすることができる場合もありますが、これについては後ほど詳しく説明します。

2、しびれの後遺障害で認定される等級や基準とは

労災によってしびれが残った場合には、障害等級12級12号または14級9号が認定される可能性があります。以下では、しびれの後遺障害で認定される等級とその基準について説明します。

いずれにしても医師による診断によって判断されます。必ず病院に通い、適切な治療を受ける必要があることは間違いありません。

  1. (1)障害等級12級12号

    障害等級12級12号とは「局部にがん固な神経症状を残すもの」である場合に認定される障害等級です。

  2. (2)障害等級14級9号

    障害等級14級9号とは「局部に神経症状を残すもの」である場合に認定される障害等級です。

    上記のとおり、障害等級12級12号と14級9号とでは、神経症状ががん固であるかどうかという文言上の違いがありますが、実際の認定では、しびれの裏付けとなる症状がMRI検査やCT検査などの他覚的所見によって客観的に判断することができる場合が12級となり、他覚的所見が乏しかったとしても医学的に説明可能な症状である場合が14級となります。

3、認定された障害等級で給付金額は異なる

障害認定の手続きによって認定された障害等級によって、被災労働者の方の給付金額は異なってきます。

  1. (1)障害(補償)給付の給付方法

    障害等級の認定を受けることができた場合には、労災保険から障害(補償)給付を受け取ることができます。障害(補償)給付は、認定された障害等級が第1級から7級までであった場合には、年金形式で支払われることになりますが、認定された障害等級が第8級から14級までであった場合には、一時金形式での支払いになります。

    労災によってしびれの障害が残った場合に認定される可能性のある障害等級は、第12級または14級となりますので、一時金払いの障害(補償)一時金が想定されます

  2. (2)障害等級による給付金の計算方法

    ① 障害(補償)年金の場合
    障害(補償)年金の場合には、認定された障害等級によって給付基礎日額の131日分から313日分の補償が年金形式で支給されます。また、障害特別支給金として159万円から342万円が一時金形式で支給されるほか、障害特別年金として算定基礎日額の131日分から313日分が年金形式で支給されます。

    なお、賞与を除いた収入額の1日分が給付基礎日額です。労災事故発生直前の3か月間の基本給を基準にして計算をします。また、算定基礎日額とは、給付基礎日額で除外される賞与額の1日分の金額のことをいいます。このほかにも、障害特別支援金や、状況によっては介護(補償)給付なども給付されるでしょう。

    ② 障害(補償)一時金の場合
    しびれの後遺障害によって障害(補償)一時金を受け取る場合には、認定された障害等級によって、給付基礎日額の56日分から503日分の補償が一時金形式で支給されます

    また、障害特別支給金として8万円から65万円が一時金で支給されるほか、障害特別一時金として算定基礎日額の56日分から503日分が一時金形式で支給されることになります。

4、障害等級の認定を受けるための手続き

障害等級認定を受けるためには、以下のような手続きが必要になります。

  1. (1)症状固定まで治療を継続

    障害等級の認定を受けるためには、医師から治癒と診断されるまで治療を継続する必要があります。治癒(症状固定)と診断される時期は、医学的な判断事項となりますので、医師と相談をしながら決めていくことが必須です。

    ご自身の判断だけで整体にだけ通ったり医療機関への通院をやめたりしてしまうと、適切な給付が受けられなくなってしまう可能性があるので注意してください。

  2. (2)労働基準監督署に申請

    治癒と診断されたにもかかわらず、しびれの後遺障害がある場合には、労働基準監督署に障害等級認定の申請をすることになります。

    障害等級認定の申請には、以下の書類が必要です。

    • 「障害補償給付支給請求書(様式第10号)」(業務災害の場合)
    • 「障害給付支給請求書(様式第16号の7)」(通勤災害の場合)
    • 労働者災害補償保険診断書


    労働者災害補償保険診断書については、治療を担当している医師に作成してもらいます。治癒の診断が出た段階で作成を依頼するようにしましょう

    労働基準監督署では、障害(補償)給付の申請がなされた場合には、提出された書類、被災労働者本人との面談、会社・病院への問い合わせなどによって審査を行い、その結果を踏まえて障害等級認定の判断を行います。

    なお、認定結果については、被災労働者に通知されます。

  3. (3)認定等級に不服があれば審査請求も可能

    障害等級認定を受けることができなかった場合や認定された等級認定結果に対して不服がある場合には、審査請求を行うことができます。

    審査請求をしたとしても、根拠資料が同一では、判定を覆すことが難しいため、最初の申請とは異なる根拠や証拠を示す必要があります。審査請求を検討する場合は弁護士に相談することをおすすめします

5、しびれの後遺障害は会社に対する損害賠償請求が可能なケースもある

しびれの後遺障害が生じた場合には、会社に対して損害賠償請求が可能なケースもあります。

  1. (1)損害賠償請求が可能なケースとは?

    労災認定を受けることによって労災保険から補償を受け取ることができますが、労災保険では支払われない費目などもあります。なぜなら、労災保険は第三者の違法行為によって発生した損害を賠償するという名目のものではなく、慰謝料などの支払いがないからです。そのため、労災保険では支払われない部分については、会社に対して損害賠償請求をしていくことになります。

    もっとも、労災認定を受けたからといって、常に会社に対する損害賠償請求が認められるというわけではありません。労災による損害を会社に対して請求するためには、使用者責任安全配慮義務違反を根拠とすることになりますので、それらを基礎づける事情が認められることが必要となります。

    たとえば、同僚が機械の操作を誤って怪我をさせられた場合、高所作業であるにもかかわらず安全柵などの設置を怠って転落して怪我をした場合などが、会社に対する損害賠償請求が認められる代表的なケースとなります。

  2. (2)損害賠償請求の方法

    会社に対して損害賠償請求をする場合には、まずは、会社との話し合いでの解決を図ることになります。交渉で解決を図る場合でも、労働者の側で会社の落ち度や具体的な損害を主張立証していかなければなりません。ご自身で交渉をすることが難しい場合は、弁護士に対応を依頼することを検討すべきでしょう。弁護士であれば、あなたの代理人として適切に交渉を進めることができます。

    会社との話し合いで解決ができない場合には、労働審判や裁判による解決を目指します。いずれの場合においても、労働者の側で、会社の落ち度や具体的な損害を主張立証していかなければなりません。それに加えて裁判は非常に専門的かつ複雑な手続きになりますので弁護士のサポートが不可欠となります。

    このように、労災を理由とする損害賠償請求は、労働者個人で進めていくことは難しいケースがほとんどです。会社に対する損害賠償請求を検討されている方は、まずは弁護士に相談をすることをおすすめします

6、まとめ

労災による怪我でしびれの障害が残ってしまった場合には、障害等級認定を受けることによって、労災保険から障害に対する補償を受けることが可能になります。

しかし、労災保険からの補償だけでは十分な補償とはいえないケースもあります。適切な等級認定を受けたい、会社への損害賠償請求を行いたいという方は、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。

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※記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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