ベリーベスト法律事務所
労働災害(労災)コラム

障害年金と労災保険は両方受給できる! ただし併給調整に注意

更新:2025年06月25日
公開:2025年06月25日
  • 障害年金
  • 労災
障害年金と労災保険は両方受給できる! ただし併給調整に注意

労働災害(労災)に遭って怪我をした結果、障害が残ってしまった場合、労災保険からの障害(補償)等給付だけではなく、障害年金も受給することができます。

ただし、労災保険と障害年金の両方を受給している場合、併給調整により減額されてしまいます。また、障害年金は、一定の事由が生じた場合、支給停止になってしまうケースもありますので、しっかりと理解しておくようにしましょう。

今回は、労災保険と障害年金の給付、併給調整や支給停止などの注意点について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、労災保険の支給額

労働災害(労災)により障害が残ってしまった場合、労災保険からどのような給付がなされるのでしょうか。以下では、労災保険の概要と労災保険における障害等級について説明します。

  1. (1)労災保険とは

    労災保険とは、業務上の事由または通勤による負傷、疾病、障害、死亡に対して、必要な保険給付を行う制度です。正式名称は「労働者災害補償保険」といいます。

    労災保険による給付には、以下のようなものがあります。

    • 療養(補償)等給付
    • 休業(補償)等給付
    • 傷病(補償)等年金
    • 障害(補償)等給付
    • 遺族(補償)等給付
    • 葬祭料等(葬祭給付)
    • 介護(補償)等給付
    • 二次健康診断等給付
    • 社会復帰促進等事業


    このうち、労災による後遺障害が残った場合に受給できるのが「障害(補償)等給付」です。

  2. (2)【一覧】労災保険における障害等級

    労災による怪我の治療を続けても事故前の健康な状態に戻らず、何らかの症状が残ってしまうことがあります。このように医学上一般に認められた医療を行っても効果が期待できなくなった状態を「症状固定」といいます。

    症状固定時に残存する症状がある場合には、労働基準監督署に障害(補償)給付の申請をすることで、具体的な症状に応じた障害等級認定を受けることができます

    障害等級は、下記表のように第1級から14級まで定められており、障害等級第1級から7級に該当するときは障害(補償)等年金が、障害等級第8級~14級に該当するときは障害(補償)等一時金が支給されます。

    障害等級 給付内容 身体障害
    第1級 当該障害の存する期間1年につき
    給付基礎日額の313日分
    1. 1  両眼が失明したもの
    2. 2  そしやくおよび言語の機能を廃したもの
    3. 3  神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
    4. 4  胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
    5. 5  削除
    6. 6  両上肢をひじ関節以上で失つたもの
    7. 7  両上肢の用を全廃したもの
    8. 8  両下肢をひざ関節以上で失つたもの
    9. 9  両下肢の用を全廃したもの
    第2級 同277日分
    1. 1  一眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの
    2. 2  両眼の視力が0.02以下になったもの
    3. 2の2  神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
    4. 2の3  胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
    5. 3  両上肢を手関節以上で失つたもの
    6. 4  両下肢を足関節以上で失つたもの
    第3級 同245日分
    1. 1  一眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
    2. 2  そしゃくまたは言語の機能を廃したもの
    3. 3  神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
    4. 4  胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
    5. 5  両手の手指の全部を失つたもの
    第4級 同213日分
    1. 1  両眼の視力が0.06以下になったもの
    2. 2  そしやくおよび言語の機能に著しい障害を残すもの
    3. 3  両耳の聴力を全く失つたもの
    4. 4  一上肢をひじ関節以上で失つたもの
    5. 5  一下肢をひざ関節以上で失つたもの
    6. 6  両手の手指の全部の用を廃したもの
    7. 7  両足をリスフラン関節以上で失つたもの
    第5級 同184日分
    1. 1  一眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの
    2. 1の2  神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
    3. 1の3  胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
    4. 2  一上肢を手関節以上で失つたもの
    5. 3  一下肢を足関節以上で失つたもの
    6. 4  一上肢の用を全廃したもの
    7. 5  一下肢の用を全廃したもの
    8. 6  両足の足指の全部を失つたもの
    第6級 同156日分
    1. 1  両眼の視力が0.1以下になったもの
    2. 2  そしゃくまたは言語の機能に著しい障害を残すもの
    3. 3  両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
    4. 3の2  一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
    5. 4  せき柱に著しい変形または運動障害を残すもの
    6. 5  一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
    7. 6  一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
    8. 7  一手の五の手指または母指を含み四の手指を失つたもの
    第7級 同131日分
    1. 1  一眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの
    2. 2  両耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
    3. 2の2  一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
    4. 3  神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
    5. 4  削除
    6. 5  胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
    7. 6  一手の母指を含み三の手指または母指以外の四の手指を失つたもの
    8. 7  一手の五の手指または母指を含み四の手指の用を廃したもの
    9. 8  一足をリスフラン関節以上で失つたもの
    10. 9  一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
    11. 10 一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
    12. 11 両足の足指の全部の用を廃したもの
    13. 12 外貌に著しい醜状を残すもの
    14. 13 両側のこう丸を失つたもの
    第8級 給付基礎日額の503日分
    1. 1  一眼が失明し、または一眼の視力が0.02以下になったもの
    2. 2  せき柱に運動障害を残すもの
    3. 3  一手の母指を含み二の手指または母指以外の三の手指を失つたもの
    4. 4  一手の母指を含み三の手指または母指以外の四の手指の用を廃したもの
    5. 5  一下肢を五センチメートル以上短縮したもの
    6. 6  一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
    7. 7  一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
    8. 8  一上肢に偽関節を残すもの
    9. 9  一下肢に偽関節を残すもの
    10. 10 一足の足指の全部を失つたもの
    第9級 同391日分
    1. 1  両眼の視力が0.6以下になったもの
    2. 2  一眼の視力が0.06以下になったもの
    3. 3  両眼に半盲症、視野狭さくまたは視野変状を残すもの
    4. 4  両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
    5. 5  鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
    6. 6  そしやくおよび言語の機能に障害を残すもの
    7. 6の2  両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
    8. 6の3  一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
    9. 7  一耳の聴力を全く失つたもの
    10. 7の2  神経系統の機能または精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
    11. 7の3  胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
    12. 8  一手の母指または母指以外の二の手指を失つたもの
    13. 9  一手の母指を含み二の手指または母指以外の三の手指の用を廃したもの
    14. 10 一足の第一の足指を含み二以上の足指を失つたもの
    15. 11 一足の足指の全部の用を廃したもの
    16. 11の2 外貌に相当程度の醜状を残すもの
    17. 12 生殖器に著しい障害を残すもの
    第10級 同302日分
    1. 1  一眼の視力が0.1以下になったもの
    2. 1の2  正面視で複視を残すもの
    3. 2  そしゃくまたは言語の機能に障害を残すもの
    4. 3  十四歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
    5. 3の2  両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
    6. 4  一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
    7. 5  削除
    8. 6  一手の母指または母指以外の二の手指の用を廃したもの
    9. 7  一下肢を三センチメートル以上短縮したもの
    10. 8  一足の第一の足指または他の四の足指を失つたもの
    11. 9  一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
    12. 10 一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
    第11級 同223日分
    1. 1  両眼の眼球に著しい調節機能障害または運動障害を残すもの
    2. 2  両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
    3. 3  一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
    4. 3の2  十歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
    5. 3の3  両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
    6. 4  一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
    7. 5  せき柱に変形を残すもの
    8. 6  一手の示指、中指または環指を失つたもの
    9. 7  削除
    10. 8  一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの
    11. 9  胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
    第12級 同156日分
    1. 1  一眼の眼球に著しい調節機能障害または運動障害を残すもの
    2. 2  一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
    3. 3  七歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
    4. 4  一耳の耳かくの大部分を欠損したもの
    5. 5  鎖骨、胸骨、ろく骨、肩こう骨または骨盤骨に著しい変形を残すもの
    6. 6  一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
    7. 7  一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
    8. 8  長管骨に変形を残すもの
    9. 8の2  一手の小指を失つたもの
    10. 9  一手の示指、中指または環指の用を廃したもの
    11. 10 一足の第二の足指を失つたもの、第二の足指を含み二の足指を失つたものまたは第三の足指以下の三の足指を失つたもの
    12. 11 一足の第一の足指または他の四の足指の用を廃したもの
    13. 12 局部にがん固な神経症状を残すもの
    14. 13 削除
    15. 14 外貌に醜状を残すもの
    第13級 同101日分
    1. 1  一眼の視力が0.6以下になったもの
    2. 2  一眼に半盲症、視野狭さくまたは視野変状を残すもの
    3. 2の2  正面視以外で複視を残すもの
    4. 3  両眼のまぶたの一部に欠損を残しまたはまつげはげを残すもの
    5. 3の2  五歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
    6. 3の3  胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
    7. 4  一手の小指の用を廃したもの
    8. 5  一手の母指の指骨の一部を失つたもの
    9. 6  削除
    10. 7  削除
    11. 8  一下肢を一センチメートル以上短縮したもの
    12. 9  一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失つたもの
    13. 10 一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したものまたは第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの
    第14級 同56日分
    1. 1  一眼のまぶたの一部に欠損を残し、またはまつげはげを残すもの
    2. 2  三歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
    3. 2の2  一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
    4. 3  上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
    5. 4  下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
    6. 5  削除
    7. 6  一手の母指以外の手指の指骨の一部を失つたもの
    8. 7  一手の母指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの
    9. 8  一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの
    10. 9  局部に神経症状を残すもの
    11. 10 削除

    「給付基礎日額」とは、労働基準法の平均賃金に相当する金額をいい、事故発生日の直前から遡って3か月間に支給された賃金の総額を、同期間の暦日数で割った1日あたりの賃金額です。
    そして、たとえば、平均賃金が1日あたり1万円の労働者が労災による怪我が障害等級7級に認定された場合にもらうことができる障害(補償)等年金の金額は、1万円×131日分で131万円になります。

2、障害年金と労災保険は、両方受給できる

労災により障害が残ってしまったときは、労災保険から障害(補償)等給付を受給することができますが、それ以外にも国民年金・厚生年金の障害年金を受給することができます。

  1. (1)障害年金とは

    障害年金とは、病気やけがによって仕事や生活などが制限されるようになった場合において、高齢者だけでなく現役世代の方も受け取ることができる年金です。

    障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があり、初診日に国民年金に加入していた方には「障害基礎年金」が支給され、初診日に厚生年金保険に加入していた方には「障害厚生年金」が支給されます。

    なお、障害基礎年金よりも障害厚生年金の方が、補償内容は手厚くなっています。

  2. (2)労災保険の障害(補償)等給付との違い

    労災保険の障害(補償)等給付は、労災による障害に対して支払われる補償で、労働者災害補償保険が根拠になります。

    これに対して障害年金は、労災に限らずほとんどの病気や怪我が対象となりますので、労災保険よりも補償の範囲が広いといえます。また、障害年金は、国民年金法や厚生年金保険法を根拠としているという点でも労災保険と異なります。

  3. (3)【一覧】障害年金における障害等級(2025年度)

    障害基礎年金の金額は、年度ごとに決められています
    障害年金は、障害の程度に応じて、下記表の3段階に分かれています。障害が重い方から1級・2級・3級の順番で、1級がもっとも年金額が高くなっています。

    障害等級 給付内容 障害の内容
    第1級 【障害基礎年金】
    83万1700円×1.25=103万9625円(昭和31年4月1日以前生まれの方は82万9300円×1.25=103万6625円)
    +子どもがある場合はさらに加算額(1人目・2人目の子は1人につき23万9300円、3人目以降子どもは1人につき7万9800円)

    【障害厚生年金】
    報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級
    (配偶者がある場合はさらに加算額)23万9300円
    1. 1  次に掲げる視覚障害
      イ.両眼の視力がそれぞれ0.03以下のもの
      ロ.一眼の視力が0.04、他眼の視力が手動弁以下のもの
      ハ.ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼の1/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつ1/2視標による両眼中心視野角度が28度以下のもの
      ニ.自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの
    2. 2  両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの
    3. 3  両上肢の機能に著しい障害を有するもの
    4. 4  両上肢の全ての指を欠くもの
    5. 5  両上肢の全ての指の機能に著しい障害を有するもの
    6. 6  両下肢の機能に著しい障害を有するもの
    7. 7  両下肢を足関節以上で欠くもの
    8. 8  体幹の機能に座っていることができない程度または立ちあがることができない程度の障害を有するもの
    9. 9  前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
    10. 10 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
    11. 11 身体の機能の障害もしくは病状または精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの
    第2級 【障害基礎年金】
    83万1700円(昭和31年4月1日以前生まれの方は82万9300円)
    +子どもがある場合はさらに加算額(1人目・2人目の子は1人につき23万9300円、3人目以降子どもは1人につき7万9800円)

    【障害厚生年金】
    報酬比例の年金額+障害基礎年金2級
    (配偶者がある場合はさらに加算額)23万9300円
    1. 1  次に掲げる視覚障害(※1)
      イ.両眼の視力がそれぞれ0.07以下のもの
      ロ.一眼の視力が0.08、他眼の視力が手動弁以下のもの
      ハ.ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼の1/4(※2)視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつ1/2(※2)視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの
      ニ.自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの
    2. 2  両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの
    3. 3  平衡機能に著しい障害を有するもの
    4. 4  そしゃくの機能を欠くもの
    5. 5  音声または言語機能に著しい障害を有するもの
    6. 6  両上肢のおや指およびひとさし指または中指を欠くもの
    7. 7  両上肢のおや指およびひとさし指または中指の機能に著しい障害を有するもの
    8. 8  一上肢の機能に著しい障害を有するもの
    9. 9  一上肢の全ての指を欠くもの
    10. 10 一上肢の全ての指の機能に著しい障害を有するもの
    11. 11 両下肢の全ての指を欠くもの
    12. 12 一下肢の機能に著しい障害を有するもの
    13. 13 一下肢を足関節以上で欠くもの
    14. 14 体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの
    15. 15 前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
    16. 16 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
    17. 17 身体の機能の障害もしくは病状または精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの
    第3級
    (厚生年金保険のみ)
    報酬比例の年金額(最低保障額62万3800円(昭和31年4月1日以前生まれの方は62万2000円))
    1. 1  次に掲げる視覚障害
      イ.両眼の視力がそれぞれ0.1以下に減じたもの
      ロ.ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼の1/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下に減じたもの
      ハ.自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下に減じたもの
    2. 2  両耳の聴力が、40センチメートル以上では通常の話声を解することができない程度に減じたもの
    3. 3  そしゃくまたは言語の機能に相当程度の障害を残すもの
    4. 4  脊柱せきちゅうの機能に著しい障害を残すもの
    5. 5  一上肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの
    6. 6  一下肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの
    7. 7  長管状骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの
    8. 8  一上肢のおや指およびひとさし指を失ったものまたはおや指もしくはひとさし指を併せ一上肢の3指以上を失ったもの
    9. 9  おや指およびひとさし指を併せ一上肢の4指の用を廃したもの
    10. 10 一下肢をリスフラン関節以上で失ったもの
    11. 11 両下肢の10趾しの用を廃したもの
    12. 12 前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、または労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
    13. 13 精神または神経系統に、労働が著しい制限を受けるか、または労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
    14. 14 傷病が治らないで、身体の機能または精神もしくは神経系統に、労働が制限を受けるか、または労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するものであって、厚生労働大臣が定めるもの

    【障害基礎年金の金額】
    障害基礎年金の金額は、年度ごとに決められていますので、金額を計算する際には、最新の年度の金額を参照するようにしてください

    年間の障害基礎年金の金額(2025年現在)は、1級で103万9625円、2級で83万1700円です。18歳までの子どもがいる場合には、「子どもの加算」がありますので、子ども2人目までは1人につき23万9300円、3人目以降子どもは1人につき7万9800円が加算されます。そのため、障害等級1級で子どもが2人いる方の場合は、151万8225円が障害年金の金額になります。

    【障害厚生年金の金額】
    障害厚生年金は、人によって金額が異なります。そのため、「障害等級○級の人の年金額は○万円」と一概に言うことはできません。
    同じ等級の人でも給与が高く、勤続年数の長い人の方が年金額は多くなる傾向があります。
    なお、本人が障害等級1級または2級に該当する場合で、配偶者がいるときは年間23万9300円の配偶者加給年金が支給されます。

3、給付金が減る? 併給調整とは

障害年金と労災年金の両方を受給することは可能です。しかし、障害年金と労災年金を同一の事由により受給する場合、障害年金については満額が支払われますが、労災年金については併給調整が行われますので、政令により定められた調整率により減額された金額が支給されます。

障害年金と労災保険の具体的な調整率は、以下のとおりです。

障害(補償)等年金
障害厚生年金および障害基礎年金 0.73
障害厚生年金 0.83
障害基礎年金 0.88

ただ、併給調整後の労災年金と障害年金の合計額は、調整前の労災年金の金額よりも低くならないよう考慮されていますので、障害年金を請求して損をすることはありません。

4、障害年金が支給停止になってしまうケース

以下のようなケースに該当する場合には、障害年金が支給停止になります。

  1. (1)障害が改善される

    障害年金は、本人が障害状態にあることが受給条件のひとつですので、障害が改善されれば、障害年金は支給停止となります。

    たとえば、精神疾患で障害認定を受けた場合、障害年金の更新時期に症状が改善されていると判断されれば、支給停止になる場合があります。

  2. (2)所得が一定額を超える

    障害年金は、就労しながら受給することもできますが、初診日が満20歳未満の場合、所得が一定額を超えてしまうと支給停止の対象になることがあります。

    初診日が満20歳未満の場合、通常は保険料納付が始まっていないため、保険料を一切納付していなくても障害年金の受給が認められることになります。しかし、これでは保険料負担者との間で不公平な結果になりますので、所得による支給制限が設けられています。

    具体的には、前年の所得が472万1000円を超えると年金の全額が支給停止となり、370万4000円を超えると2分の1の年金額が支給停止となります。

  3. (3)障害状態確認届の提出忘れ

    障害状態確認届とは、障害年金受給者の障害の状態を確認するために定期的に日本年金機構から送付される書類です。障害状態確認届が届いたときは、誕生月の末日までに提出しなければなりません。

    期限までに障害状態確認届が提出されないと、障害年金の支払いが一時止まることになります。

5、給付金に不安がある場合は慰謝料の検討を

労災により障害が残ってしまったときは、労災保険や障害年金による補償が受けられますので、金銭的な不安もある程度解消されるでしょう。しかし、障害が残った状態では、満足に働くことができず、収入の減少なども予想されます。また、労災保険や障害年金からは、労災事故により被った精神的苦痛に対する補償は支払われません。

そのため、労災保険や障害年金による給付金だけでは不安があるというときは、弁護士に相談することをおすすめします。労災事故の発生について会社に責任がある場合は、会社に対して慰謝料などの損害賠償請求ができるケースもあります。

会社への責任追及にあたっては、法的観点から会社の責任を立証していかなければなりませんので、弁護士のサポートを受けながら慰謝料請求を検討していくようにしましょう。

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※労災保険への不服申立てを行う場合、訴訟等に移行した場合は別途着手金をいただくことがあります。

※事案の内容によっては上記以外の弁護士費用をご案内することもございます。

6、まとめ

労災により障害が残ったときは、労災保険だけではなく障害年金も受給することができます。しかし、同一の事由で請求する場合、併給調整により労災年金の金額が減額される可能性があります。

障害が残るようなケースでは、労災保険や障害年金だけでは十分な補償とはいえませんので、まずは弁護士に相談して慰謝料請求などを検討していくとよいでしょう。

労災による損害賠償請求は、経験と実績豊富なベリーベスト法律事務所にお任せください。

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この記事の監修者
外口 孝久
外口 孝久
プロフィール
外口 孝久
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ベリーベスト法律事務所
パートナー弁護士
所属 : 第一東京弁護士会
弁護士会登録番号 : 49321

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

交通事故部マネージャー弁護士として、交通事故(被害者側)、労災問題(被災労働者側)及びその周辺分野に精通しています。マネージャーとして全体を統括し、ノウハウの共有に努めつつ、個人としても多数の重傷案件を含む400件以上の案件を解決に導いてきました。お客様と真摯に向き合い最善の解決を目指すことをモットーとしています。

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